止まり木


 最初に“それ”を感知したのは嗅覚だった。風に混ざった鉄の臭い。それをスイッチに、カイの脳は鮮やかな赤い色を思い浮かべた。その色は、炎の色でもあった。
「……ソル?」
 確信があったわけではない。しかし数秒後には、彼は血溜りの中で倒れているソルの姿を見付けていた。
「ソル!」
 しっかりしろと叫びながら助け起こすと、温かい体温が手に触れた。周囲の暗さで詳しいことが見て取れないだけに、最悪の事態をも想定しようとしていたカイは、そこに灯る炎がまだ消えてはいなかったことに安堵の息を吐いた。
 手の平に集中させた法力で回復の術を施しながら、辺りの様子を窺った。ソルが倒れていた血溜りには、長く引き摺ったような跡があった。それがどこへ続いているのかは分からない。夜の闇の中に隠れてしまっている。
(なにかがここから移動していった?)
 いや、違う。逆だ。長く伸びた血の跡は、おそらく倒れる前のソルによって作られたものだ。傷を負い、血を流しながらも歩みをとめず、その赤い線を描きながら、彼は移動してきたのだろう。そしてこの場で倒れた。だが意識を失う直前に自分でも術を施していたらしく、腹部に空いていたと見られる巨大な穴は、すでに粗方塞がっていた。さすがは人外の回復力と、関心するべきだろうか。だが、そんな力を持ちさえしなければ、こんな傷を負うこともなかっただろう。
 ソルにこれ程までの傷を負わせたのは、一体何者だろう。ギアだろうか。常人であれば充分致命傷になるダメージを与えておきながら止めを刺しに追ってこないということは、敵はすでにソルの手によって始末されていると見て良いだろう。近くにそれらしき気配も感じない。戦いを終えたソルは、傷が癒えるまでの間、安全に過ごせる場所を求めて移動してきたに違いない。
(それで、ここへ……)
 どうしたって目立つ街の中。時間的な理由で今は人通りがないが、明るくなればおそらく大騒ぎになる。そんなことを、ソルが望むはずがない。にも関わらず足を運ぼうとした先。そこにあるのは、カイの自宅だった。
「…………ソル……?」
 呼びかけてみたが、返事はない。
 ただの偶然だろうか。本当は深い考え等なしに、近くの通を抜けようとしただけなのかも知れない。そもそもソルがカイの住居を知っていたという保証がない。もし知っていたのだとしても、それを『安全な場所』として認識している可能性は如何程だろうか。なにせ、自分は何度も彼を負かそうとしてきたのだ。そんな相手がいる場所が、果たして彼にとっての『安全な場所』になりえるだろうか。少なくとも、気が休まるとは到底思えない。それでもカイは、助けを求められているような気がした。いや、そう思いたかった。
「……ソル」
 再度静かに呼びかけると、ソルはゆっくりと眼を開いた。自分がおかれている状況に気付くと、彼はその身体を支えている細い腕を振り払おうとした。
「余計なこと……してんじゃねぇ……」
 ソルは立ち上がろうとした。だが、おそらく血を流しすぎたのだろう。ふらついた足は彼の身体を支えきることが出来ず、がっくりと膝を折った。
「碌に動けもしないくせに」
 カイは手を伸ばし、再び術をかけた。失った血を再生することは出来ないが、残る傷の痛みを抑えるくらいは可能だ。
 本当は反論したかったのだろう。口を開こうとしたらしいソルは、しかし表情を歪め、舌打ちをしただけだった。
「ゆっくりでいい。立てるか?」
 肩を貸してやると、ソルは封炎剣を杖の代わりにして立ち上がった。その間も、カイは回復の術をかけ続けている。
「……私の家が、すぐそこだ。客人を招ける程片付いてはいないが、ここよりはましだろう」
「客人? はっ。厄介者の、間違いじゃねーのか」
 いつもよりは力ない口調で、それでもソルは口許を歪めてみせた。
「憎まれ口を叩けるくらいなら、歩けるな。こんなところで行き倒れられると、迷惑だ」
 出来るだけ親切には聞こえないようにと努力しながら、カイはゆっくりと歩き出した。ソルは――意外にも――あっさりとそれに従った。
 ソルの出血はすでにとまっている。しかし皮膚や服を濡らした血はまだ乾き切っていない。ソルの身体を支えるカイの、白い法衣がそれを吸って赤く染まっていた。そのことに気付いたらしいソルは、口を開こうとしたようだ。謝罪の言葉でも言うつもりか。しかしカイは、それを阻止するように足を進めた。
「行くぞ」
 ソルは黙って歩いた。

 カイは自宅のリビングにあるソファへとソルを座らせた。灯りの下で傷の具合を見ると、ソルは「大した傷じゃねぇ」と言った。それは事実で、穴の開いた衣服の向こうにある皮膚には、大きな負傷は見られなかった。だがそれは少し前まではそうではなかったはずだ。すぐに回復の術をかけていなければ、ソルとて生命の危機に直面していただろう。
「貧血でまともに歩けもしないくせに」
 カイは無造作に伸びた髪の下の赫い眼を睨んでやった。彼の法衣は、すでに赤から黒へと変わってきている。再び、ソルが「悪かったな。汚しちまって」等と言い出すのではないかと思え――そんなソルらしくない言葉は想像の中ででも聞きたくなかった――、カイは先に口を開いた。
「食事は?」
「いらねー」
「ならシャワー……。傷を洗わないと……」
「どこに傷が残ってるって?」
 ソルは鬱陶しそうな顔で息を吐いた。
「ついでに、医者もいらねー。寝てればこの程度、すぐ治る」
 言おうと思っていた言葉を先取りされて、カイは口を噤んだ。確かに、ギアの自己修復力を持つソルなら、眠っていればいずれ治ってしまう傷なのだろう。だがそれは、全ての力を回復に集中させなければならない――眠る以外のことが、なにも出来ない――程の重傷であったということを意味している。その証拠に、「相変わらず煩い坊やだぜ」等と言いながら、その人物の住居であるこの部屋から出て行く素振りは一切見せない。ソルはそのままクッションを枕代わりに、ソファに横になった。溜め息を吐きながら脱いだ法衣を駄目で元々のつもりで洗ってみるか、それとも処分してしまうか考えていたカイは、露骨に顔を顰めた。
「待て。そこで寝る気か? 寝るならベッドに……」
「あぁ?」
 ソルはカイを睨み付けた。だが、その眼はすでに眠そうだ。
「なんでオレが坊やのベッドで寝なきゃなんねーんだ」
「どう考えたって窮屈だろう」
 ソルの足はソファから余裕ではみ出していた。
「私がソファで寝る。だからお前はベッドを使え」
「断る」
 ソルはきっぱりと言い放った。
 2人の身長は10センチも違わない。カイにとってもそのソファの丈は足りないだろう。しかし、背丈にそれだけの差しかなくとも、体格は明らかにソルの方が上だ。腕1本とっても、その太さは遥かに違う。一体どんな鍛え方をしているのだろうかと思う程だ。
「ソル、お前は怪我人だぞ」
 駄々を捏ねる子供を叱り付けるような口調で言っても、ソルはその場を動こうとしなかった――あるいは動けないのだろうか――。カイは幾度目かの溜め息を吐くと、脱いだ法衣を持って寝室へと移動した。そして、1分もしない内に、2枚の毛布と枕を持って戻ってきた――血塗れになった法衣は、寝室のゴミ箱へ放り込んできた――。
「……おい?」
 ソルが眼を開けて訝しげな顔をする。その顔目掛けて、カイは毛布を1枚投げ付けてやった。そして自分は灯りを消し、ローテーブルを挟んだソファの向かいで横になる。
「おい」
 今度はソルが咎めるような声を出した。
「怪我人をソファで眠らせておいて自分だけのうのうとベッドで眠れるような神経を、私は持ち合わせていない」
 ソルに背を向け、突き放すように言った。
「ここは坊やの家だぜ。ベッドも坊やのもんだ」
「私が私の家のどこで寝ようと、私の勝手だろう」
 暗闇の中から、呆れきったソルの溜め息が聞こえた。
「勝手にしやがれ」
「するとも」

 すぐ近くにソルがいて、あっさり眠れるとは思っていなかった。普段は存在しない他人の寝息に邪魔されて、なかなか寝付けないだろうと思っていた。だが実際には、それを聞いていたのはほんのわずかな時間だけで、気が付くとすでに朝になっていた。床の上で寝たために多少身体は痛んだが、その程度だ。
 起き上がると、ソルは昨夜のまま、ソファの上にいた。声をかけてみたが、返事はなかった。熟睡しているようだ。戦いに明け暮れ、野宿で夜を過ごすことも少なくないためだろうか。ソファの窮屈さは、然程苦になっていないように見えた。傷の具合は、毛布に隠れて見えない。だがその寝顔を見る限り、危機は去ったと考えて良いだろう。
 カイはそっと立ち上がり、自分の分の毛布と枕を寝室へと戻し、着替えを持ってバスルームへ行った。今日は仕事が休みの日ではない。自宅に家族でもなんでもない男がいるから休みたいのだ等とは、言えるはずがなかった。そろそろ出かける準備をしなければならない。
 シャワーを浴び終えたカイがバスルームから出てきても、ソルはまだ眠っていた。少しだけ体勢が変わっているようにも見えたが、眼を覚ました様子はない。シャワーの音は、眠っている彼の耳までは届かなかったらしい。体力を回復させるのに、それだけの休息が必要なのだとしたら、それを妨害してしまうわけにはいかない。仕方なくそのまま寝かせておくことにして、カイは簡単な朝食を1人で済ませた。そのあとで、朝と昼を兼ねられるだけの量の食事を用意し、キッチンのテーブルの上に置いた。もちろん、自分で食べるためのものではない。
 一言声をかけて行くか迷ったがおそらく無駄だろうと判断して、静かに家を出た。

 終業の時間になると、カイは普段の彼では考えられない程の早さで職場を後にした。建物の出口へ向う途中、何かの書類を手にした部下が近付いてきたが、「すみません、明日にしてください」とだけ一方的に告げて、真っ直ぐ自宅へ戻った。
 おそらく、ソルの体力はもうほとんど回復しているだろう。となれば、彼がいつまでもあの場所にとどまっていなければならない理由はない。カイが留守であることを幸いにと、さっさとその身を戦場へと舞い戻らせてしまうだろう。
(どこまで自分勝手なんだ……!)
 カイは腹を立てていた。なにに対してだろうか。ソルが礼も言わずに行ってしまうことにだろうか。いや、そんなことは初めから期待していない。ではなにに……。
 辿り着いた自宅の玄関前に、今朝はなかったはずのタバコの吸殻が落ちていた。銘柄までは覚えていないが、ソルがいつも吸っているのと同じ物だろう。出て行く前に一服していったのだろうか。
(こんなところに捨てて……)
 それを拾い上げ、カイは自宅へと入った。灯りは付いていなかった。しかし、人の気配がする。まさかと思いながらリビングを覗いてみると、ソファの上に今朝と同じ姿があった。
 カイは息を吐いた。
 少し迷ったが灯りを付けた。ソルは眠っているようだ。まさか昨夜から一度も眼を覚ましていないのでは……。いや、それでは留守中に出現したタバコの吸殻の説明が付かない。しかし、出て行く前に一服していったのではないのなら、わざわざ喫煙のためだけに外へ出て、それが終わるとまた戻ってきたということだろうか。確かにこの家には灰皿はないが……。
 キッチンに移動すると、テーブルの上に置いていったはずの物がなくなっていた。食事どころか、食器すらない。流し台へと視線を移すと、空になった皿が置かれていた。流石に洗ってまではいないようだが、ここまで運ばれていただけでも奇跡的な出来事だと言えよう。あのソルが、気を使ったとでもいうのか。わざわざ外でタバコを吸ったのも。カイはくすりと笑っていた。
(らしくもないことをして)
 だがそれを言えば、自分とてそうかも知れない。いつもは勝負しろと言いながら追っている相手を自宅へ招き入れ、手当てをし、食事を与え、仕事中もずっとその存在を気にしていた。容態はどうなっただろうか。すでになにも言わずに行ってしまったのだろうか。集中力が散漫になって、1日の内に2度も部下に「どうかされたのですか」と尋ねられた。彼の聖戦中なら、とっくに命を落としていただろう。帰宅して、ソルの姿がまだそこにあると分かった時、カイははっきりと自覚できる程に安堵していた。そう、安心したのだ。ソルが危険のない場所として自分の傍を選び――いくらカイがソルとの勝負を望んでいるからといって、怪我人に一方的に向っていくような人間ではないと理解して――頼ってくれたのかも知れないこと。傷さえ癒えればもう用はないと立ち去ってしまわずに、自分の存在を多少なりとも意識してくれたのかも知れないことに。
(憶測ばかりだが……)
 嬉しかった。
 ソルが――あの場所に倒れていたのは本当にただの偶然で――自分を少しも見ていないのが……。そしてそれを「違う」と否定し切れない自分が、腹立たしかったのだ。
(違う……と思っても、良いんだよな……?)
 ソルは相変わらず寝ていた。昼間にどれだけ眼を覚ましていたのかは分からぬが、よく眠る男だ。
(あんな邪魔そうな物付けながら……)
 カイの眼は、ソルの額のヘッドギアへ向いていた。ソルが力の制御のためにそれを付けていることは知っている。だが、傷の治療に力が必要な今は、むしろそれを抑えてしまわない方が良いのではないだろうか。そうでなくても、とても寝心地が良さそうだとは思えない。
(そういうわけにも、いかないのか……)
 カイは無意識の内に、ヘッドギアに彫られた文字に触れようとしていた。伸ばした指先が、茶色い髪を掠めた次の瞬間、カイはその手首を掴まれていた。
「!?」
 そのまま強く引かれ、バランスを崩す。ソファの背凭れに反対の手をついて、とっさに身体を支えた。
 カイの手を掴んでいたのは、ソルだった。眼を覚ましたらしい。なにをするのだと抗議しようとしたが、予想外に近くにあったソルの眼に、声は咽喉の奥へと落ちていった。近すぎる。慌ててソルの胸の上に半ば乗り上げるような体勢から脱した。
 カイの慌てる様子がおかしかったのか、ソルはくつくつと笑っている。
「寝込みを襲うつもりなら、もっと上手くやるんだな」
「だ、だれがっ……!」
 冗談でも卑怯者のように言われたことに、カイはむっとした。負傷し、大人しく眠っている時にはそこにその存在があることに安堵さえ覚えたというのに、口を開けばあっと言う間にいつものこの調子だ。ソルもソルだ。死にそうな顔をして――というのは少々大袈裟だが――頼ってきたくせに……。素直ではないのはどちらなのだろう。
 まだ掴まれたままだった腕を振り解くと、ソルは起き上がって欠伸をした。毛布が肌蹴た腹部には、もう傷は残っていなかった。
「腹減ったな」
 ソルがぽつりと呟いた。
「あ……」
 カイは心の中で「しまった」と声を上げた。ソルがまだいるか否かを気にするあまり、どこにもよらずに帰ってきてしまった。元より独り暮らしの身。食料の買い置きは多くはない。辛うじて残っていた食材も、今朝の内にほとんど使ってしまっていた。
 ソルは立ち上がり、壁に立てかけてあった封炎剣を取ると、ドアへ向って歩き出した。今度こそ本当に、出て行くつもりなのだろう。空腹を訴えた相手を、「ここで食べていけばいい」という言葉で引き止めることが出来ないカイは、それを見送る他なかった。
(やはり、もう行ってしまうんだな……)
 きっといつか、そうやって去って行った背中がそのまま消えてしまう日が来るのだろう。別れを告げることなく、それっきりになってしまう日が……。彼をどこかに留めておくことは、おそらく彼自身にも不可能なことに違いない。
 多くを望みすぎてはいけないと、分かってはいる。いや、そもそも自分がなにを望んでいるのかも分からない。今はこのくらいで良いではないかと、自身を納得させようとする。だが、強く握った拳は微かに震えていた。
「おい」
 不意にソルの声が飛んできた。さっさと玄関から出て行ってしまったと思っていた姿が、ひょっこりと顔を覗かせていた。
「なにぼさっと突っ立ってんだ。飯食いに行かねーのか」
「え……。あ、私もっ?」
「坊やは晩飯は食わねー主義か?」
 そういえば昨夜はソルに付き合って早々と寝てしまったために、夕食はとっていなかった。だが、とれなければ仕方がないかと思いはすれど、とらないことに決めているわけではない。カイの留守中に家捜しでもしたのか、今ここで食事の用意が出来ないことを知っているような口振りだ。
「さっさと行くぞ」
 「ついてこい」と言っているのだろうか。そのまま立ち去ってしまうのではなく。
 カイは慌ててその背中を追った。見慣れた、自分の前を歩いてゆく姿。だが今日は、追跡者を振り切ろうとその足が速まることはない。むしろ、後に続く足音が離れてしまわないよう確かめながら歩いているように感じた。
 カイはくすぐったさを覚えた。少し綻んだ唇を、先を行く男に振り返られても見られずに済むよう、顔をやや伏せて歩いた。
 ソルは「なに食いに行くかな」と独り言を言っている。ふと思い付いたカイは、歩調を速め、ソルの隣に追い付いた。
「宿を提供してやったんだ。食事代くらいはお前が持っても良いと思うのだが……」
「あぁっ?」
 ソルは立ち止まり、眉間にしわをよせ、睨み付けてきた。一般人なら泣いて逃げ出したくなるようなおそろしい眼付きだったのかも知れない。しかしカイは、黙ってそれを見詰め返した。やがて――
「ちっ」
 舌打ちが聞こえて視線が逸らされた。再び歩き出したソルが言う。
「今持ち合わせがねぇ。今度にしろ」
「えっ……」
 半分は冗談のつもりだった。まさかソルが了承するとは思ってもみなかった。そしてさらに今の言葉……。それはつまり、
(また、私の前に現れてくれるということか……?)
 なにか大きな音が聞こえたと思ったら、自分の心臓の音だった。そのリズムに合わせるように、カイは地面を蹴った。再びソルに追い付いて、笑った。
「そういうことなら仕方がない。今日は私が奢ろう」
 ソルは器用に眉を片方だけ上げて、訝しげな表情を作った。
「ただし、次はお前が奢るんだぞ。2回」
「あァッ!?」
「そうしないと計算が合わないだろう」
 涼しい顔で言ってのけ、カイはすたすたと足を進めた。文句を言いながらもついてくる足音と、胸の鼓動を聞きながら。


2012,10,21


こんなことを繰り返してる内に、時々ソルの旦那がカイちゃんの家にお泊りしていくのが習慣化しちゃったらいいと思います。
ソルは通い夫(笑)。
<利鳴>

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