フーナラ ギャグ 18歳以上推奨


  会いたくて会いたくて震える?


 「急な仕事が入った」とナランチャが聞かされた時、フーゴはすでに出掛ける準備に取り掛かっているようだった。その手を止めさせないようにと一応の注意をしながら尋ねたところによると、上からの命令ですぐに出発しなければならないのだという。今は“とりあえず”5日分の荷物を用意しているところらしい。
「え、長っ」
 意識することなく口から出た素直な言葉に、アバッキオとミスタは「だよな」と言うように頷き、ブチャラティはすまなさそうな視線をフーゴへと向けた。
「幹部から指示があってな」
「急な欠員が出たらしい」
「とにかく頭いいやつ寄越してくれって言われたんだとよ」
「ふーん」
 それならフーゴは適任であろう。しかし『“とりあえず”5日』とは、場合によっては――いや、おそらくは高確率で――もっと伸びそうな雰囲気ではないか。どんな内容の任務なのかは知らないが、“とりあえず”面倒臭そうなことは間違いない。頭が良いというのも、なかなかどうして大変そうだ。
「荷造りは済んだか」
 ブチャラティがフーゴに尋ねた。
「はい。必要最低限の物は揃えられたと思います。不足があれば、その都度どこかで購入します」
「よし。オレもそろそろ出る時間だから、駅まで乗せて行こう。ここで待っていてくれ。車を移動させてくる」
 車のキーを持って外へと向かうブチャラティの姿を見てナランチャは、自分にも仕事――ブチャラティやフーゴのそれと比べるとただの雑用のような内容だが――が与えられていたことと、そろそろ出発しなければならない時間であることを思い出した。
(でも少しくらいなら……)
 行き先はここから遠くはない。少し走れば、出るのが遅れても充分巻き返せる程度だ。それなら、フーゴを見送ってから行くことにしよう。何しろ最短でも5日は顔を合わせることが出来なくなるというのだから――電話等での連絡が可能かどうかも分からない――。そんなに長い間会わずにいるのは、もしかしたらナランチャが組織に入ってから初めてのことになるかも知れない。2人が“恋人”と呼ばれる関係になってからは、なおさらである。
「フーゴ、行ってらっしゃい。気を付けてな」
 面倒な任務なのか、あるいはまだ詳細を聞かされてすらいないのか、浮かない表情をしているフーゴの肩を、ナランチャは励ますつもりでぽんと叩いた。
「帰ってきたら、どっか出掛けよーぜ」
 本当はすでにその約束はしていて、明日果たされるはずだった。が、上からの命令次第で、そんなものはいつだってなかったことになりかねない。彼等が身を置いているのは、“そういう世界”だ。そのことは、2人とも充分に分かっている。これが初めてのことでもない。だから落胆なんてしない。フーゴに責任があるわけでもない。「楽しみが少し先に延びただけ」と、前向きに思っておいた方が健全だ。
「留守はオレ達に任せとけって!」
 わざとらしいくらいに明るく、そう言って胸を張ってみせたのに、
「あの、ナランチャ……」
「ん?」
「その……。大丈夫、ですか?」
 不安そうな視線を向けられた。一瞬、「そんなにオレが信用出来ないのかよ。ガキ扱いすんなよ」と思い掛けたが、もしかしたらフーゴ自身がこれからの任務に不安を感じていて、その裏返しなのかも知れないと思い至った。
「全然どうってことないぜ。何個か任務入ってるけど、全部大したことないのばっかりだし」
 だからこちらの心配はせずに、自分がやるべきことを頑張ってこいよ。そう激励したつもりだったのに、歯切れ悪く「そう、ですか」と返したフーゴの表情は、何故かさらに曇ったように見えた。
(なんで?)
 少し首を傾げた時に、やっと気付いた。フーゴがしているのは、任務の話ではない。
「あー、でも」
 ワントーン高い声でそう言うと、フーゴの視線がナランチャの方へと戻った。
「ちょっと寂しいかも? なぁんて」
 そう言って笑ってみせると、フーゴの頬が火で照らされたようにぱっと赤くなった。どうやらこれが“正解”だったようだ。それと同時に、おそらくフーゴ自身がそのように思っているのだろうと確信した。
「時間取れたら、連絡くらいしろよな」
 「恋人なんだから」。声に出して言う代わりに、片目を瞑ってみせた。
 フーゴは頬を紅潮させたまま、何か言おうと口を開きかけた。が、それを阻止するかのように、外から短く車のクラクション音が響いた。フーゴの肩がびくりと跳ねる。あと少しタイミングが違っていたら、彼は舌を噛んでしまっていたかも知れない。
「ブチャラティ来たな」
「そ、そうですね。もう行かないと……っ」
 荷物を持ち上げるのと駆け出すのと、どちらを先にすべきかの判断を誤ったのか、フーゴは鞄に躓きかけてから、慌ただしく出て行った。その背中を見送った後、ナランチャは窓へと駆け寄り外に顔を出した。建物から出てきたフーゴに声を掛けて手を振ると、少し照れ臭そうな笑顔がこちらを向いた。
 車が完全に見えなくなり、窓を閉めて振り向くと、からかうようににやにやと笑っているミスタと、少々呆れたような顔をしているアバッキオがこちらを見ていた。
「何?」
「いやぁ? 別にぃ?」
 ミスタはまともに会話をする気はないようだ。それならばとアバッキオに視線を向ける。だが彼は質問には答えずに、「お前も仕事だろ」と話題を変えた。
「あ、うん。そうだった」
 そろそろ出ないと、“少し走る”が全距離&全力疾走になりかねない。早速出口へ向かおうとすると、アバッキオがそれを追い越して行った。
「オレも出る」
「あれ、アバッキオも仕事?」
「ああ。今日はもう戻らない。たぶんな」
「途中まで一緒に行く?」
「行かない」
「なんだよそれぇー」
 愛想のないやつだなと思っていると、今度はミスタが口を開いた。
「ナランチャ、お前は戻ってくるんだよな?」
「うん。そのつもり」
「オレもあと少ししたら出掛けるから、鍵忘れんなよ。で、たぶんオレも戻ってこないから、最後お前戸締りな」
「りょーかい」
 時計を見れば、そろそろ出ないと本当にマズい。「了解」とは口先ばかりでそのまま走って出て行こうとするナランチャの後頭部に、「だから鍵ィ!」という声と共に投げ付けられた鍵が直撃した。

 言い付けられた用事を全て済ませたナランチャが戻ってくると、アジトには誰もおらず、明かりもついていなかった。そういえば全員出掛けると言っていたのだったなと思いながら、一番近くの椅子を引いて腰を下ろした。今日はもう何の予定も入っていないから、あと1時間ほどすれば帰宅してしまって良いだろう。それまではただの留守番だ。
 「退屈だぁ」と欠伸が出た。いつもなら、「それじゃあ勉強の時間にしましょうか」とでも言われているところだ。フーゴに。
「……5日かぁ」
 改めて数えてみると、やはり長い。5日もあれば何が出来ただろうか。「それだけあればだいぶ勉強が進みますね!」と想像上のフーゴが笑顔で言った。
「いやいやいや、そんなのよりもさぁ、なんか食べに行ったりぃー、どっか買い物に出掛けたりぃー……」
 ぶんぶんと首を振っていると、ふと、視界の隅に見慣れぬ物が入り込んできた。目を向ければ、少し離れた机の上に、持ち手のない白い紙袋が置かれている。こんな物、出掛ける前からあっただろうか。
(誰かの忘れ物……?)
 室内を見廻してみるも、ナランチャの他にはやはり誰もいない。
 なんとなく気になって近付いてみると、袋にはボールペンで書かれたらしい――先程の距離からでは線が細い上に薄くて見えなかった――文字が書かれていた。『Per Narancia』。そして『Da Fugo』。
「ナランチャへ。フーゴより……」
 だとすると、フーゴが置いていった物だろうか。フーゴからナランチャへ充てた、何か。いや、出掛ける間際、彼は何も言っていなかった。時間がなかっただけか? その可能性はある。だがこれはフーゴの筆跡ではない。彼が書く文字は、勉強を教えてもらう際に何度も目にしたことがあるので間違いない。では誰の字だと言われると、それは分からないが……。
 誰かがフーゴから預かったのだろうか。「自分には時間がないから、ナランチャが来たら代わりに渡してくれ」とでも頼まれて。予想に反してフーゴの出発より先にナランチャがやってきてしまったが、時間がないことに変わりはなく、直接渡すことは諦めたままにしたのか? だが、他の誰からも、やはり何も聞かされていない。ナランチャがばたばたと出掛けて行った所為で、伝言を置き書きに変更せざるを得なくなったのだろうか。そのくらいのことを伝える時間すらなかったとは思い難いが……。
 となると、この筆跡の持ち主はナランチャより後に出掛けていったミスタだろうか。それともアバッキオが何かの理由で一度戻ってきたのかも知れない。まさか伝え忘れを思い出しただけのことで彼がそこまでするとは考え難いから、おそらくは別件の何かで戻ってきて、ついででこれを書いた。同じ可能性は、ブチャラティにもある。
 なんにせよ、『ナランチャへと』書かれているのだから、これはナランチャが開けてしまっても問題ない物なのだろう。むしろ気付いていながら放置するのは、きっと良くない。
(フーゴから……?)
 なんだろう。自分の留守中に、ナランチャが寂しくないようにとプレゼントを? いやいや、そんな物を用意する時間はなかったはずだ。そうだと分かっていても、無意識に口元が緩みそうになる。今日の急な任務とは無関係だとすれば、前々から贈ろうと思っていた何か? 誕生日でもクリスマスでもないのに?
 紙袋に手を伸ばし、持ち上げてみる。思ったよりも重量がある。中身は四角い箱型をしているようだ。
(まさか本とか……)
 いや、それにしては縦に長い。自分が不在にしている間でも本で勉強しておくように。なんて、フーゴが言いそうなセリフではあるが。
 ビニールのテープで簡単に止められているだけの封を開くと、案の定、中から出てきたのは箱状の物だった。素材は厚紙だ。そのパッケージ写真を見て、ナランチャの思考は一瞬停止する。
「……は?」
 最初に目に飛び込んできたのは、どぎつい色をした太さのある棒状の物だ。それを手にし、挑発的かつ官能的な表情とポーズをした露出度の高い――というよりも、その身体は申し訳程度にしか布に覆われていない――恰好をした女の写真も印刷されている。商品名と思わしき文字は、妙にデザイン化された形に書かれている所為で全く読める気がしない。が、それが何なのかは分かった。どのような用途のために作られた物なのかも。そしてそれを、『バイブレーター』、略して『バイブ』と呼ぶことも。
「ちょっと待てぇぇぇぇぇッ!!」
 誰もいないのを承知で、思わず声が出た。
「は!? 意味分かんないんだけど!? 馬鹿じゃないの!?」
 きっと馬鹿なのだろう。誰かが。その誰かとは誰だ。正直、どこから突っ込んで良いのか全く分からない。
「いや突っ込まねーし!!」
 そういう意味ではない。誰もそんなことは言っていない。というかここには誰もいない。幸いなことに。だが誰もいない所為でなんの説明も得られないのも事実だ。
「あああもうっ!! マジで意味分かんねーよ! なんだこの状況!!」
 自分でも誰に腹を立てているのか分からない。というか、これが怒りなのかどうかもよく分からない。ただ顔面が熱を持っていることは分かる。きっと色も紅くなっていることだろう。
 一旦落ち着こう。
 パッケージに印刷されたそれが男性器を模しているのは明白だ。人体に挿入して性的な快楽を得るための道具だ。が、こんな目に刺さる色をした男性器が実在したら、その男性は病気かあるいは異星人だろう。箱には防水加工だとか、抗菌だとか、すぐに使える乾電池付きだとか、連続稼働時間(マックスパワー時)だとか、そんな文字が書かれている。こんな物、フーゴがナランチャに充てた物であるはずがない。そもそもフーゴの年齢では購入すら出来ないのではないか。いや、彼は――自分もだが――裏社会の人間だ。表の世界のルールなんて、いくらでも破る術は持っている。
(え、待って? 違うよな? だって絶対フーゴの字じゃあないし。いやでも字が別の誰かのだったとしても中身はフーゴがって可能性も……)
 出発前のフーゴの顔を思い出す。「ちょっと寂しいかも?」と冗談めかして言った時に見せた、あの顔……。
「いやいやいやいや。いやいやいやいやいやいやいやいや、さみしーとか言ったけどそーゆー意味じゃねーし!!」
 初心な少年のような照れた顔。あれと“これ”が同一人物の思考だとは到底思えない。やはり違う。違わないはずがない。
 となれば、考えられるのは誰かの悪ふざけ。フーゴの名前を使って、ナランチャをおちょくって遊んでいる誰かがいる。誰だ。ミスタか。あの“キャラクター”なら絶対ないとは言えない。だが流石にそこまで馬鹿かとも思わないでもない。ナランチャよりも後に出掛けたはずの彼ならば、こんなものを用意する時間はありそうだが。……いや、それはアバッキオも同じか。今日は帰らないと言っていたが、予定が変わって戻ってくる時間があった可能性はある。……アバッキオだったらどうしよう。
「ムッツリスケベかッ!!」
 金切声を上げてから、はたと思い付いてしまった。もし、万が一、本気で気を利かせたつもりのブチャラティがしたことだったら……。ブチャラティはそんな悪ふざけをするような人間ではない。……と思いたいが、こと戦闘以外の面では、彼は少々天然な一面もある。2人の関係を知る彼が、フーゴの留守中可哀想だからと思って、信じ難いが本当に良かれと思ってやったことだったら……。
(つまりブチャラティ的にはこれが普通……)
 何か良くない想像をしてしまいそうだ。
「やめよう! 捨てるッ! 捨てればいいんだよこんなものッ!!」
 聞いてる者などいないのにそう宣言し、ナランチャは箱をむんずと掴んだ。
「捨てる……にしても、分別……とか、しないといけないのか? これ……」
 果たしてこれは何で出来ているのだろうか。プラスチックか。もう少し柔らかい素材だろうか。電気的に動く部分もあると書かれているからには、金属も使われているのか。箱は紙だが、部分的に中の商品が見えるようくり抜いて透明なプラスチックの板が接着されているところもある。
「すっげぇめんどくせぇ……」
 肺の中の空気がほぼゼロになるまでの長い溜め息を吐いてから、箱を閉じているテープを剥がしにかかった。が、粘着力が妙に強く、やっと開いた頃には爪がちょっと欠けていた。
 箱の方を掴んで逆さに持った。ごとりと重たい音を立てて、中身が姿を現した。
「待って待って待って待って。なにこのサイズ。エグっ。でかっ。長っ! ってかふっと! いやこれ無理だろッ! 入るかこんなのッ! いや、入れねーけどッ!!」
 こんな物、実用出来る者がいるのだとしたら、その人物もまた異星人なのかも知れない。
「分別って言ったけどさぁ……」
 つまり分解しないといけないのだろうか。どこをどうやって? 正直あまり触れていたくもないのだが。
「あー、もう……」
 ゴミの分別なんて考えずに、そのまま捨ててしまえば良かった――もちろんアジト内のゴミ箱ではなくて、どこかのゴミ捨て場に――。ギャングが分別だなんて、今更何をきっちりしようとしているのだ。
(いっそのことそのまま放置しておけば……)
 いや、それは駄目だ。こともあろうに袋には、『ナランチャへ』と彼の名前が書かれていた。そのままにしておけば、何も知らない誰かが気を利かせて渡してくるだけならまだしも、中を見られたら誤解しか生まれない。
 一度は考えないことにした“犯人”への怒りが再び込み上げてくる。一体誰だ。やはりミスタか。アバッキオか。それともブチャラティか。いや、やはりまだ本当にフーゴ発信である可能性も完全否定は出来ないのでは……。とにかく、そいつを見付け出してこの悪趣味な品物を突き返してやりたいところだが、ナランチャはその箱を開けてしまった。ふざけた物を渡すなと叩き付けてやるにしても、一度開封されたそれは、“使用済み”と見做されてしまうだろう。そうなれば最悪だ。
「もー! もおおおおーッ!」
 口からはすでに意味のある言葉すら出てこなくなった。
 ナランチャは怒りに任せて掴んだそれを床へと叩き付けた。が、はっきり言ってこれは良くなかった。いつの間にか――おそらくは触れた拍子に――、電池の絶縁シートが外れていたらしい。そして落ちた拍子に電源が入った。マンションなら下の階から苦情が来そうなほどの音を立てながら、それは床の上をのたうち廻った。
「動きヤバいぃッ!! もはや怖いッ!!」
 本気で逃げ出したくなったが、こいつをここへ残しておくわけにはいかない。今日は誰も戻らないにしても、明日の朝、電池が切れかけて虫の息になっているこれを誰かが目撃したら……。
 とにかく電源を切ろう。煩くて敵わない。あと動きが気持ち悪い。そう思って手を伸ばしたのに、触れる直前で振動音がより一層強くなった。と思ったのは勘違いで、実際にはマナーモードにしたままだった携帯電話に着信があり、その振動音が重なっただけだった。だが“勘違いだった”と気付いた時には、すでにナランチャの口からは甲高い悲鳴が飛び出た後だった。
 床に転がる悪趣味な道具を右手で掴んで、それから机の上に置きっぱなしだった携帯電話を左手で掴んだ。右手の機械のスイッチを切ってから、左手の電話機の通話ボタンを押そうとして、そこに表示されている名前がフーゴの物であることに気付いた。
「えっ、な、なんでっ……!?」
 時間が空いたら電話くらいしろと言ったのはナランチャだ。だから、ただそれだけのことかも知れない。が、これがもし「贈り物は届きましたか?」の確認だったら……。
(もう帰りたい……ッ!!)
 時計を見れば、いつの間にか思った以上の時間が経過している。何事もなければとっくに帰路についていたはずだ。無駄な時間を、こんな物のために過ごしてしまった。一体誰が悪い。もう誰でもいい。とにかく誰かに文句を言いたい。言おう。ちょうどその相手は左手に持った機械の先にいるではないか。そうだ。フーゴさえいれば、こんなことにはならなかった。
「フーゴのバカァ! さっさと帰ってこいよォッ!!」
 通話ボタンを押した電話機に向かって叫んだ。突然の罵声に狼狽えたような気配が伝わってきた後、「あの、それって、……ぼくに会いたいって意味ですか?」と遠慮がちな、しかし嬉しそうな、そして見当違いな声が言った。ナランチャは携帯電話を床へ投げ付けたくなった。が、ぎりぎりのところで留まる。携帯電話を投げれば、十中八九壊れる。個人の名義ではない、仕事用にと与えられたそれを壊せば、十中十で叱られる。代わりに右手に持ったままだった本件の根源を足元へと叩き付けた。その衝撃で、電源がオンになった。マンションなら下の階から苦情が来そうなほどの音を立てながら、それは床の上をのたうち廻った。
「もうヤダァっ!!」
 ナランチャは空いた右手で頭を抱えた。


2023,01,26


最初は“犯人”が誰だかはっきり分かる書き方にしようと思っていましたが、アホっぽ過ぎてそのキャラに悪い気がしたので特定出来ないように変更しました。
ので、“犯人”はご想像にお任せということにしたいと思います。
いっそのこと全員の共犯でもいいかも知れません(笑)。
<利鳴>

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