フーナラ 全年齢


  Fledgling searcher


 はっきり言って、ナランチャは不満だった。仲間達が出発してからもう数時間は経っているはずだが、それでも時折、彼等が乗る車が走り去って行った方角へと睨むような視線を向けている。
 任務の概要を淡々と説明するブチャラティが呼んだ名前は、ナランチャのものが最後だった。
「アバッキオは、ムーディー・ブルースでターゲットの追跡を。サポートにはオレが付く。フーゴは車の運転を頼む。いつでも出せるように待機していてくれ」
「ああ」
「分かりました」
 先に名を呼ばれた2人は短い言葉と共に頷きを返した。
 次は自分の番だと、ナランチャは身構えた。だが、
「ナランチャは事務所で……」
「またぁ!?」
 ナランチャはブチャラティの言葉を遮るように声を上げた。
 おそらくブチャラティは、「待機しているように」と続けるつもりだったのだろう。この場合のそれは、フーゴが言われたのと同じ単語ではあっても、意味合いはまるで違っている。早い話、それはただの『留守番』でしかない。
 1週間ほど前に行われた別の任務の時もそうだった。その時は「未成年だと知られると何かと厄介だ」ということと、同じ理由からフーゴも待機を命じられていたということで一応は納得したのだが、今回は違う。完全に自分ひとりが“置いてけぼり”だ。
「大勢で動くと目立ってしまうからな」
 今回も一応それらしい理由は存在しているようだ。だがそれが事実なのか、それとも説得のための建前なのかまでは判断出来ない。そして、どちらであったとしても、ナランチャの不満に変わりはない。
「なんでオレだけっ!」
 チームのリーダーであるブチャラティは良い。何故なら、リーダーだからだ。その次にギャング歴が長いフーゴも良いということに、ひとまずしておこう。だが、アバッキオはナランチャよりも後からチームにやってきたはずである。経歴ではなく年齢を理由にするというのであれば、今度は年下であるフーゴが参加しているのが納得いかない。
 その思いが顔に出ていたのか、ブチャラティに代わってフーゴがやれやれと溜め息を吐くように口を開いた。
「ターゲットの追跡にはアバッキオのスタンドが一番適しているし、移動には車が必要です。君、運転もう覚えたっけ? この間ウインカーとワイパー間違って操作してなかった?」
「それは……」
 免許を取る取らないは別として、車は使えた方が良い。そう言われて、フーゴに――時々ブチャラティからも――運転の仕方を教わり始めたのはまだ1週間ほど前のことだ。それも、空いている時間――ナランチャの、ではなく、教える側および車輌の、だ――にしか練習出来ないので、その技術にはまだ少々不安要素が残っていると言わざるを得ない。先程ブチャラティは車を「いつでも出せるように」と言っていた。咄嗟の判断を求められる場面がある想定なのだとしたら、新米ドライバーであるナランチャに任せるのは危険だろう。
「今回の行き先ははっきり言ってどぎつい坂道だらけですよ。最低でも坂道発進は出来ないと。それに道幅も狭くてUターン出来ないところが多いから、バックで走らないといけなくなる可能性もある。敵を追跡しながら、もしくは、敵から距離を取りながらね。出来ますか? 出来るなら代わってやってもいい」
「うー……」
「留守番と言っても、何も事務所に篭っている必要はない。どうせ誰も訪ねては来ないだろう。何かあった時に連絡が取れるように、携帯電話だけ持っていれば、外出するのは構わない」
 そう言ったブチャラティの口調は、フーゴのそれと比べるといくらか優しいものであるように聞こえた。が、その印象とは裏腹に、意味するところは最終通達でしかない。つまり、ナランチャが何を言っても予定が変更されることはない。しかも『待機』という一見“それっぽく聞こえる言葉”ではなく、ダイレクトに『留守番』という――小学生の子供にでもさせるような――言葉を使っている。本人にその自覚はなく、つまりそれが本心――意識せずに自然と出た気持ち――なのだろう。
「お前、スタンドのコントロールはちゃんと出来るようになったのか?」
 駄目押しのように、それまで黙っていたアバッキオが口を開いた。その口調から、「そういうお前は?」と尋ね返す必要がないことがはっきりと分かった。
「う、それもまだ……」
 ナランチャがスタンドと呼ばれる不思議な力を身に付けてからの日数は、彼がギャングの世界に足を踏み入れてからのそれとほぼイコールである。殺傷能力を持たぬと言っても過言ではないアバッキオのスタンドと違って、戦闘機のような形をしたナランチャのそれは、一度コントロールを失えば、人的物的に拘わらず、周囲に被害をもたらす可能性が大いにある。その特性の所為もあって、練習をするというのも容易ではない――念のため人気のない場所へ移動する必要がある――。結果、胸を張って「使いこなしている」と言うにはまだ抵抗がある状態だ――早い話がまだ慣れられていない――。スタンドは精神の力で動かすんだと教えられたが、これがなかなかどうして難しい。「君のスタンドは人の形をしたタイプではないから、自分の感覚とリンクさせるのに慣れるまで、時間が掛かるのかも知れませんね」とフーゴは言っていた。
「暇なら特訓でもしてるんだな」
「日が暮れるまでには戻る」
「何かあったら携帯に連絡してください。出られなくても、後で折り返すから」
 それだけ言うと、彼等はさっさと車に乗って行ってしまった。
 今回の任務に、自分がやれることはない。さらなる反論を試みても、それは無意味であるどころか確実に仲間達を不快にさせてしまうだろう。そのことを、ナランチャは充分理解している。してはいるのだが、それでもやっぱり不満であることは否定出来ない。
「ちぇ……」
 それから1時間ほどは、事務所のソファの上で不服を全開にした顔で過ごした。だがその顔を見る人間は誰もいない。ずっとそうしているのにも飽きて、食事に出たのは正午をだいぶ過ぎてからだった。さらに数時間が経過しても、見慣れた車が通りの向こうに姿を見せる気配はない。ポケットの中の携帯電話は通話の着信もメールの受信も知らせてこない。言われた通りにスタンドの特訓でもするかと思ったが、件の理由から街中でそれをやるのはあまり適当ではない。どこへ行くのが良いだろうかと考えていると、急に追い詰められたような声が飛んできた。
「助けてくださいッ!!」
 年の頃なら30代前半。どこにでもあるような襟付きの白いシャツと濃紺のパンツ姿で、フレームのない眼鏡をかけた男だった。今正に床屋から出てきたばかりなのではないかと思うほどにきっちりとカットされた頭髪と、今にも泣き出すぞと言わんばかりのぐしゃぐしゃになった表情とがちぐはぐ過ぎて、それを見た数人にひとりは考えるよりも先に笑い出してしまうのではないか。男が土下座でもするかのように地べたに座り込み、片方の脚に縋り付いてきたのではなければ、ナランチャも吹き出していたかも知れない。
「うわぁッ!? なっ、なんだよテメー!?」
「お願いです! 助けてほしいんです!!」
 どう見ても関わるのが面倒臭そうな相手だ。そうでなければ――至極普通の人間であれば――人の通りも少なくないこんな道端でこんなことはしないだろう。
「ちょっ……、離れろよっ!」
「お願いします!! 話を聞いてくださいィッ!!」
「テメーこそ聞けッ!! とにかく一旦離せっての!!」
「嫌だあぁぁあぁぁぁッ! 絶対に聞いてもらうんだああああああぁぁッ!!」
 どうやら男はかなりパニックになっているようだ。そんな相手を宥めて話を聞くなんてことは、ブチャラティやフーゴならともかく、ナランチャの得意とする分野ではない――「相手を黙らせる」という点に関しては、アバッキオも向いていると言えるかも知れない――。結局、その男を引き剥がすのにたっぷり5分は掛かった。それだけの時間があれば、『聞いてほしいこと』とやらの何割かは話すことが出来ただろうに。
「なんなんだよもうッ!」
 相手がまだ地面にへたり込んでいるのを幸いとばかりに、ナランチャは男の背中を蹴り付けながら尋ねた。通行人の視線がいくつもこちらを向いているのを感じたが、そんなことはどうでも良い。
「す、すみません……。取り乱してしまいまして……。あ、あの、ブチャラティ……さんのところの方……ですよね?」
 男はずり落ち掛けた眼鏡を直しながら、窺うような視線を向けてきた。年少者に対してどういう口調で喋れば良いのか迷っているような様子だ。それでも丁寧な言葉遣いを選んで使ったのは、――ナランチャにというよりはブチャラティに対して――下手に出た方が都合が良いことがあるからなのだろう。例えば、無茶な依頼をしたい……だとか。
「そーだけど……」
 否定したところでこの男の耳には入らないのでは……。そう思って、ナランチャは渋々頷きを返した。
「実は、ブチャラティさんにお願いしたことがっ!」
 それはもう聞いたも同然だろう。必死になって聞いてくれと言うわりに、どうもテンポが悪くてイライラする。ナランチャは「なんなんだよ」と先を促した。すると、
「妻を、探して欲しいんです。3日前の朝、買い物に行くと言って出たっきり、帰って来ないんですっ」
 男は再び泣き喚き出しそうな顔になる。
「ただの家出じゃあねーのぉー?」
 そのくらいならナランチャにも経験がある――された方ではなく、した方の――。こんな男と四六時中一緒にいなければならないのだとしたら、家出の一度や二度、したくなるのではないだろうか。
「そんなことッ! 私達は心の底から愛し合っているんですよッ!? 妻が私に黙っていなくなるなんて、絶対にありえない!!」
 男は大袈裟なほどに首を振って否定した。どうやら、よっぽど愛情が通い合っているという自信があるようだ。が、パートナーに逃げられた者は、多くの場合同じようなセリフを言うのであろうことは容易に想像出来た。つまりはこの男の方の勘違い。あるいはその愛情が重過ぎて……ということもあるかも知れない。
「お願いです! 探してください! 何か事件に巻き込まれたのかも……。そう思うと、もうずっと、食事も喉を通らなくて……」
「あーもー……」
 正直言って、面倒臭い。と、普段なら一蹴していたかも知れない。だが今ははっきり言って完全に暇だ。それに、リーダー達の留守中にひとりで依頼を解決したとなれば、仲間達も自分を見直すかも知れない。ナランチャひとりで情報を集めるのは容易であるとは言えないかも知れないが、ブチャラティの名前と少々の金銭でも使えば、警察や情報屋から話を聞き出すことは彼にだって出来るはずだ。ただの家出人程度なら、見付けられそうな気がする。
(それに……)
 面倒臭そうな相手ではあるが、困っている人を見捨てるのは良くない。そんな風に思ったことは、否定しない。
「分かった。やってやるよ」
 ナランチャがそう言った途端、
「本当ですかありがとうございますこれが妻の写真ですどうです美人でしょうこの近くの小学校の教師をやっているんですがね子供達からも保護者からもそりゃあもう評判でして実は私の友人が妻に良く似た女性を見掛けたというんですこの住所がそうなんですが何か手掛かりがあるかも知れません今すぐ向かってください!!」
 堰を切ったようにそう言うと、男は1枚の写真と住所が書かれた小さな紙切れをぐいぐいと押し付けてきた。やっぱり断れば良かっただろうかと一瞬思ったが、もう遅い。
(こうなったら自棄だ。オレだってやれば出来るんだぜってところを見せてやる!!)
 ナランチャは半ば強引に握らされたメモを開いて目をやった。クセの強い字で書かれた住所を読み上げる。
「……えーっと、どこだこれ?」
 どうせなら住所ではなくて地図を書いてくれれば良かったのに。
「その通りを向こうへ真っ直ぐ行って、脇道に入ってからはまたしばらく真っ直ぐで……」
 男が説明する道順をなんとか頭に叩き込む。あまり長い道のりだと覚えられなかっただろうが、幸いにも曲がるべき角はそれほど多くない上に目印となる建物もはっきりしているようで、これならなんとかなりそうだ。
「これ、なんの建物なんだ?」
「4階建ての古いアパートがあるんです。元々はその裏にある……というより、その建物が、裏にあるんですね。そこにある工場で働く従業員の寮だったみたいです。今すぐ出発していただければ、日暮れ前には到着出来る距離です。移動手段は徒歩です。そっちの方面に向かうバスはありませんし、車では入っていけないような細い路地を通らなければなりません。途中で駐車出来る場所もあまりないから、車は邪魔になると思います。少し時間が掛かっても、歩いて行く方が確実です」
「ふーん。とりあえず行ってみるかな」
 現時点で考えられる可能性としては、夫との生活に嫌気がさして家出した妻が、今はそのアパートで――単身なのか、それとも誰かと一緒なのかまでは置いといて――生活しているといったところだろうか。すぐに本人が見付かれば話が早いが、そうでなくても、新たな目撃情報を探すことくらいは出来るだろう。住所のメモと一緒に渡された写真は、被写体が正面を向いていない上に、無理に拡大コピーしたようで粒子が荒いが、人相は充分に判別出来る。他の手掛かりがないのであれば、今はそれが一番の近道――かつ唯一の手段――だ。
「ありがとうございます! よろしくお願いします!!」
 早速出発しようとするナランチャに、男は高速で何度も頭を下げた。見送られているというよりも、早く行けと追い立てられているような気分になってくる。
 男の姿が見えなくなったところで、「何かあったら連絡しておくように」と言われていたことを思い出し、ナランチャは携帯電話を取り出した。相変わらず新しい通知は何もないことを確認してから、ブチャラティの番号を呼び出し、発信ボタンを押した。呼び出し音は一度も鳴らずに、「今は電話に出られないから要件を録音しておけ」といった旨の音声が流れる。どうやら、まだ任務の最中であるようだ。一瞬迷ったが、わざわざメッセージを残すほどのことではないように思え、そのまま通話終了のボタンを押した。ただの人探し程度のこと、『何かあった』にカウントするまでもないだろう。
 ナランチャは男に教えられた通りの道を進んで行った。途中、妙に道が入り組んでいるところがあり、進んでいる方向を見失う。本当にこっちであっているのだろうかと思ったところで、古い4階建てのアパートらしき物が見えてきた。
「教えられた住所、ここ……であってるよなぁ?」
 ナランチャが目を向ける先にあるのは、聞いていた通りの物だ。その後方には何らかの工場らしきシルエットも見える。それより何より、建物の壁に掲示されているアドレスが、男に教わった住所と一致している。ここで間違いないはずだ。だが、
「これ、誰もいないんじゃあないのか……」
 アパートの窓には、ひとつも明かりが灯っていなかった。日暮れが近いことに加えて、建物全体が工場の影の中にすっぽりと入ってしまっている所為でかなり暗くなっているにも拘わらず、だ。たまたまか? いや、誰も住んでいないと見る方が自然だろう。それも、老朽化の進行具合から見て、無人になってから十数年は経っているに違いない。さらには火災でもあったのか、1階の一番端の壁が黒く焼け焦げている。工場の方も似たような様子で、どうやらすでにその機能を失っているようだ。
 ナランチャは首を傾げた。本当にこんなところに一般人が現れるだろうか。どちらかと言えば、人目のないことを幸いにと、犯罪組織がヤバい物の取引現場なんかに使っていそうな雰囲気だ。
「ただの家出かと思ったけど……」
 もしかしたら、本当に何等かの事件に関係しているのかも知れない。それも、“事件に巻き込まれた側”とは限らない。“事件を起こしている側”である可能性も、現段階では否定出来ない。
 ナランチャは改めて男に渡されたメモを見た。そこに書かれている住所は、建物の番地で終わってはおらず、部屋番号まで明記されている。外階段を上って行った3階の、奥から2番目。外から見た限りでは他の部屋と変わった様子は見られないが、ここまで来て何もせずに引き返すことは出来ない。何もないならないで、「何もなかった」ということを確かめねばならない。
 一段上っただけで、金属製の階段は嫌な音を立てて軋んだ。途中で崩れたりしないだろうなと思いながらも、何事もなく目的の部屋の前へと辿り着く。ドアの横には部屋番号が書かれたプレートが掲げられているだけで、当然のように、住人の名前はどこにも書かれていない。
 駄目元のつもりで、ドアレバーに手を掛ける。すると、意外にもそれはあっさりと動き、施錠されていないことをナランチャに伝えてきた。躊躇いながらもそのまま押すと、階段と違って、音もなく、ゆっくりと開いた。
 案の定、中は暗い。それでも、どうやら両隣の部屋との間にある壁をぶち抜いて大きな一部屋に改造してあるらしいことが伺えた。そんなことをして、建物の強度は大丈夫なのだろうか。
 ナランチャは足音を立てぬように、中へ入った。家具のような物が置かれている様子はなく、人が住んでいる気配はやはりない。
 『何もない』。それが第一印象だった。にも拘らず、なんだか嫌な予感がする。目に見える物質ではなく、得体の知れない“何か”が漂っている。そんな感じだ。
 もし探している人物がこの中に監禁されてでもいれば、そしてそれを見張っている者がいるとすれば、不用意に声を出すのは得策とは思えない。
(だったら……)
 ナランチャは心の中で己のスタンドへと呼び掛けた。
(エアロスミス! レーダーで“探知”しろ!)
 ナランチャのスタンドであるエアロスミスは、機銃や爆弾等での攻撃の他に、レーダーを使って二酸化炭素を探知することが出来る。最初はそれが何を示しているのか分からなかったが、人――や動物――がいる場所や、物が燃えている場所に反応が現れることから、おそらくは呼吸や燃焼によって発生する二酸化炭素を捉えているのだろうということにやがて気付いた――というよりも、そうではないかとフーゴが予測した――。飛行や狙撃同様、まだその精度は高いとは言い難い――街中だと人の反応が多過ぎて個々を見分けるのが難しいのだ――が、この建物の中程度の範囲であれば問題はないだろう。ネズミや野良猫、昆虫の類が潜んでいればそれ等ももちろん呼吸をしているが、二酸化炭素の排出量を一定以上に限定して探知すれば、人間より小さな生き物の反応は除外出来る。
 レーダーには早速反応があった。それも、ナランチャのすぐ真横、手を伸ばせば触れる距離に。
「なっ……!?」
 咄嗟にそちらの方へ視線を向けるも、相変わらず誰の姿も見えない。それでも間違いなく“いる”。
(こいつもスタンド使いか……!!)
 姿を消すスタンド。そう考えれば、納得するのは容易だ。
 ナランチャはほぼ反射的に床を蹴ってその場から飛び退いた。その直後に、何かが空を切るような音が唸る。続いて、金属質の物を床に叩きつけるような音。見えない相手は、ハンマーか、それに類する物を持っているようだ。だがそれも、目を凝らしても全く見ることが出来ない。本人だけではなく、手にした物まで透明に出来る能力なのだろう。
 スタンド使いがこんな場所にいて、しかも有無を言わさず襲い掛かってくるなんてことは、偶然であるはずがない。もちろん仕組んだ者がいる。
(あの男……!)
 いなくなった妻を探してくれと言っていたあの男は、嘘を吐いていた。男の真の目的は、ナランチャを誘い出すこと。つまりは罠だ。組織に対して敵意を持つ者に依頼されでもしたか、あるいはその張本人なのだろう。
 レーダーの反応は真っ直ぐナランチャに向かってきている。だが肉眼で見える光景には動く物は何もない。しいて言えばかすかに埃が舞ったくらいのことだった。
「くそっ……!」
 ナランチャはさらに跳躍して距離を取った。出口から離れてしまったがやむを得ない。同時に攻撃の体勢に入る。
「食らえッ!」
 レーダーの反応がある場所へ向けて連続で放たれた弾丸は、しかし敵にダメージを与えることは出来なかった。姿の見えぬ相手は、動きを止めるどころか、呼吸を乱すことすらなく、距離を詰めようとしてくる。
(かわされた!?)
 いや、攻撃の軌道は完璧だった。だというのに、相手には命中しなかった。目標をすり抜けた。そうとしか思えなかった。どうやら相手のスタンドは、姿を見えなくするだけではなく、自身へと向けられた攻撃を完全に無効化出来るようだ。弾くでも、かわすでもなく、存在自体がないかのように、全ての物はその人物を透過してしまう。
(なのにそっちの攻撃はあたるって!? どんな裏技だよ!?)
 レーダーの反応が近付いてくる。ナランチャが体を右へ捻ると、そのすぐ傍で空気が動いた。見えない鈍器が床を叩き、埃と砕けた床材が飛び散る。どんな得物を手にしているのかは知らないが、生身で受け止めようするのは自殺行為だろうとは予想が出来る。
「撃て! エアロスミス!!」
 ナランチャはなおも応戦を試みる。だが結果は先程と変わらず、相手は避ける素振りすら見せない――と言っても元より見えないのだが――。
 敵の動きがあまり素早くないこと。攻撃はあくまでも物理的な武器によるものであり、スタンド自体に戦うための能力はなさそうであること。それ等の点に関しては、かなりナランチャに分がある。
(あとは、なんとかして攻撃さえあたれば……)
 あるいは敵が攻撃を繰り出す瞬間であれば……。そう考え、ナランチャはギリギリまで相手の接近を許した。すんでのところで身をかわし、空気が唸る音に合わせてスタンドに銃撃を命じる。しかしやはり弾丸は透明な敵をすり抜けてしまう。
(くそっ、やっぱり駄目か……。他に手は……)
 少なくとも、じっとしていて勝機が見えてくることはないだろう。ナランチャは立ち位置を変えながら発砲を続けた。
(こいつを倒すには、これしかない……!)
 爆音に重なって、耳障りな笑い声が響いた。
「おいおいおいおい、何度やれば理解出来るんだ? 撃ちまくってれば1発くらいあたってくれるかもとでも思ってるのか? 無駄だね!! 何度やっても、お前の攻撃はオレにはあたらねーんだよ!」
 ずいぶんと雰囲気が違っているが、それは「いなくなった妻を探してくれ」と懇願してきたあの男の声で間違いなかった。
「その声! やっぱりテメーか!!」
「はぁっ!? 今更気付いたのかよ!? お前どんだけマヌケなんだよ!?」
「うるせぇ! ぶちのめしてやる!! とどめだ、食らえッ!!」
 ナランチャが撃ったそれは、先程まで使用していた機関銃ではなく、着弾と共に激しい閃光を放つミサイルだ。どんという衝撃と共に、強烈な光が爆ぜる。ナランチャは爆発の瞬間に合わせて両の目を閉じていたが、それが予測出来たはずもない敵は、その光をまともに見ている可能性が高い。暗がりに慣れた目には、余計に眩しいことだろう。
 悲鳴は聞こえなかった。それでも敵の動きが止まったのは分かった。どうやら光までは無効化出来なかったようだ。まともに目が眩んでいれば、数十秒は動けないだろう。それだけの時間があれば充分だ。何故なら、今の攻撃はただの目眩ましでは終わらない。
 部屋全体がぐらりと大きく揺れた。と思ったのも束の間、次の瞬間には、足元が音を立てて崩れた。元々老朽化していた建物だ。それに加えて、今までのナランチャの攻撃で、床にはいくつもの穴が空いていた。今のミサイルは敵ではなく、足場に対してのとどめだったのだ。
 突如現れた落とし穴に、敵は対処の術を持たなかったようだ。甲高い悲鳴を上げながら、レーダーに映った反応は、瓦礫と共に落下していった。
 だが、
(ヤバいッ……!!)
 建物の強度は、ナランチャの予想以上に低くなっていたようだ。攻撃地点からは充分に距離を取っていたつもりだったが、崩落は範囲を広げながら止まる気配がない。
 ナランチャはドアに向かって走った。しかし、
(間に合わない!!)
 抵抗を嘲笑うように、地面が消えた。咄嗟に手を伸ばしたが、掴めるような物は何もない。
(せめて受け身を……!)
 最早出来ることは、打ち身か掠り傷程度で済むことを祈るばかりだ。そう思った彼の腕を、すんでのところで何かが掴んだ。
「……ッ!?」
 落下の急な停止による衝撃が、片腕全てに掛かり、ナランチャは思わず表情を歪めた。その顔を上げるより先に、聞き慣れた声が降ってきた。
「何してやがるんだこの馬鹿ッ!!」
 ナランチャの腕を掴んでいるのは、フーゴだった。
「フーゴ? なんで……?」
「さっさと上がれ! この×××!!」
 とんでもなく無礼な言葉をぶつけられた。一瞬頭に血が上がり、反射的に口を開きそうになったが、フーゴの険しい表情に思いとどまった。フーゴは片方の手で床の淵を掴み、もう一方の手だけでナランチャの体重を支えている。はっきり言って彼は、特別体格が良いということはなく、力だってずば抜けて強いというわけではない。この状況に長く耐えるのは不可能だと見るべきだろう。そうでなくとも、いつ崩れるか分からない場所でいつまでも宙吊りでいるわけにはいかない。
 ナランチャが反対の手も伸ばしてなんとか床の上へと這い上がると、口を開くよりも先に「早く外へ!」と再び手を引かれた。走り出したその直後、足場の一角が再び音を立てて崩れていった。彼等は間一髪のところでドアの外へ飛び出した。
 外階段を降り、念のため建物から少し離れる。エアロスミスのレーダーを作動させると、2階ではなく1階部分に、弱々しい反応が1つだけあった。おそらく2階の床も脆くなっていたか、あるいはすでに抜けていたかで、敵は一気に1階まで落ちたのだろう。生きてはいるが、動く気配はない。上から降ってきた瓦礫の下敷きにでもなっているのかも知れない。ひとまず、追撃されるおそれはなさそうだ。
 呼吸を整えてから、ナランチャはフーゴに尋ねた。
「なんでフーゴがここにいるんだよ? オレ、何にも言ってないよな? ……偶然?」
 フーゴは再び険しい顔付きになった。
「そんなわけあるかッ! テメー、何も言ってない自覚あんのかよ! 連絡しろって言われただろうがッ!!」
「だって電話繋がらなかったから……」
「折り返しただろーがッ!!」
「え、マジで?」
 ポケットから携帯電話を取り出すと、着信履歴が20件以上あった。表示されているのは前半がブチャラティの番号からで、後半がフーゴからのものだった。
「全く気付かなかった」
「気付いた上で無視してたんだったら、発信と同じ数だけ殴ってるところだ」
 良く見ると、画面の端に音も振動もオフになっていることを告げるアイコンが表示されている。これでは電話機を見続けてでもいない限り、着信に気付くはずがない。そんな設定にした記憶はないが、なっているのだからしたのだろう。
「留守電にもならないし」
「あー、それは覚えてる。前になんかの拍子にオフになっちまって、そのまま……」
「貸せッ!!」
 フーゴは有無を言わさずナランチャの手から携帯電話を取り上げ、いくつかの操作をした。たぶん着信時の振動をオンにして、出られなかった時にメッセージの録音が出来るように設定したのだろう。
「……で、どうやってここが分かったんだよ?」
 状況確認の順番が少しおかしくなってしまった。そう思いながら、話を無理矢理本題へと戻す。フーゴは大きな溜め息を吐いてから一気に喋り出した。
「君、ブチャラティに電話したでしょ。任務中は出られなかったけど、終わってからすぐに折り返した。でも君は出ない。戻ってきてもどこにもいない。何かあったんじゃあないかと思って、事務所と君が行きそうな飲食店の近くで聞き込みをして、おかしな男と喋ってたらしいところまで突き止めた。そこからはアバッキオのムーディー・ブルースで……」
「聞き込みするより、最初からムーディー・ブルース使った方が早くないか?」
 思わず口を挟むと、思いっ切り睨まれた。
「目撃情報が入らなければそうしたでしょうね。その場合、君が間違いなくいたと判明している時間と場所は、僕達が出発した時点での事務所だ。そこからリプレイすると、行き先を知りたい夕方近くまで、君の行動を全部追うことになるけど、そうして欲しかった? 飯食ってるところも、トイレに行ってるところも全部?」
「ゴメンナサイ……」
 もう喋りませんと言うように、ナランチャは両手で自分の口を押えた。
「ムーディー・ブルースで、君が人探しの依頼を受けたようだということが分かった。でもその依頼主の男がどう見ても怪しい。なのに、君は何も警戒していない。これはまずいと判断して、男が持っていたメモの住所に僕が先行した。ブチャラティとアバッキオはリプレイを続けて、直接男の方を追ってる」
「え、そんなに怪しかった?」
 思いがけぬ言葉に、ナランチャは手を放して再び口を開いた。
「演技臭かったでしょ」
「そうかなぁ?」
「それに、既婚者だと言うわりに、指輪をしていなかった」
「そうだっけ?」
 見た記憶がない。
「でも、結婚してる人が必ず指輪をしてないといけないってわけじゃあないだろ? そういうのするのあんまり好きじゃあないって人もいるし、指輪買う金がなかったとか。金属のアレルギーってのもあるんだろ?」
「確かに、絶対とは言い切れない。でもアレルギーの件は否定出来ると思います」
「なんで?」
「ベルトが金属の腕時計をしていた」
 それも見た記憶はない。
「他にも、食事も喉を通らないと言いながら、顔色や肌の状態は至って正常。服だって、センスはないけど、ちゃんと洗濯してある上に、シャツにはアイロンまでかかっていた」
「もっと前に洗ってアイロンかけた服にたまたま着替えたばっかりだったのかも? 流石に着替えくらいする暇はあるだろうし」
「それからファッション性のない伊達メガネ。たぶん変装のつもりなんでしょう」
「え、あれ伊達なの?」
「度の入ったメガネはレンズの向こう側にある物がずれて見えるからすぐに分かる。逆に言うと、そのずれがないのは伊達メガネです。それを避けるために、メガネをかけたキャラクターを演じる時にはわざとコンタクトレンズで視力を落としてから度の入ったメガネをする俳優がいるなんて話も」
「プロ根性だなぁ」
「今はそんな話はどうでもいいです」
「自分から言ったくせに……」
 再び睨まれたので、ナランチャは黙った。
「あの男が見せた写真もおかしかった。普通ならもっと正面を向いた写真を持ってくる。あれは被写体が撮られてることに気付いてもいないような写真だった。たぶん遠くからバレないように撮影したんでしょうね。自分の妻を、どうしてそんな撮り方をする必要が?」
 そういえば、写真が拡大コピーされた物であるらしいことにはナランチャも気付いていた。だがちょっと見辛いなと思っただけで終わっていた。フーゴはそれを疑いの根拠のひとつとして見ていたようだ。
「『3日前の朝に買い物に行くと言って出て行った』と言うのも違和感がある」
「そうかぁ?」
「その人は教師だと言っていた。3日前は平日だ。普通なら仕事がある。そんな日に朝から買い物になんて行く? 『仕事に行ったきり』という方が自然だ。たぶん細かいところまで設定してなかったんでしょう」
「確かに……」
「あれだけ取り乱しておきながら、妻らしき人物がいたという場所を自分で見に行っていないようなのも怪しかったですね。そのわりに、その場所に何があるかは知っていた」
「あ……」
 確かに、どんどん怪しいように思えてきた。
「ひとつひとつの違和感は些細なことかも知れません。今のも、『妻を見掛けた友人』とやらに聞いたという言い訳は出来ます。君も言っていたけど、理由付けは不可能ではない。でもそれも、これだけ重なると不自然なんですよ」
 これは認めざるを得ないようだ。そうでなくても、あの男が攻撃を仕掛けてきたのは事実だ。つまり自分は騙されたのだ。今更ながらに怒りが湧いてくる。あの男、瓦礫の中から掘り出して、一発くらい殴っておこうか。
「ブチャラティに頼みたいことがあると言っていたのに、所在を聞こうともしなかったのもおかしいですね。いないことを知っていたのか、あるいは本当の目的が別にあった」
 そんなに最初から騙されていたとは。
「あーもー、ほんっとに腹立ってきた! あいつ殴ってきてもいい?」
「まだ崩れるかも知れないから駄目です」
 気持ちは分かると言うような顔をしながら、それでもフーゴは首を横へ振った。
「そういえば、あの男どうするんだ?」
 すでに辺りはずいぶんと暗くなってきている。今から掘り出しに行くのは危険かも知れない。かと言って、あのまま放置して帰って良いのだろうか。
「そうですね。回収くらいはした方が良さそうだ。組織に楯突くとどうなるか、思い知らせておかないと。でもそれは、ブチャラティ達に任せましょう」
「じゃあ、ブチャラティに連絡するの?」
「いえ、たぶんもうそろそろ……あ、ほら」
 フーゴが指差すのと同時に、ナランチャの耳にエンジン音が近付いてくるのが聞こえた。振り向くと、こちらへ向かってくるレンタカーらしき車が見えた。
「あれ、車だ」
「うちの車は僕が使ってきたんで、2人には別の車を借りてもらいました。その手続きにちょっと時間がかかったみたいですね。あ、そうそう、あの男が言っていた、車で入っていけないっていうのも嘘です。君を徒歩で向かわせて、自分は車で先廻りするために。工場があるんですよ? 車輛が近付けないんじゃあ、仕事にならない」
「だから潰れたんじゃない?」
「潰れる前に、普通そんな土地は選ばない」
 フーゴは長く息を吐いた。
「あとは?」
「え?」
「あの男が最初から怪しかったってことと、君が注意不足だったってことは理解出来た? もう質問はない? ブチャラティ達が車から降りてきたら、この件はもう終わるけど。まだ何か言っておきたい?」
 いや、聞きたいことはもうない。概ね理解出来たし、反省する必要があることも分かった。だが、
(言っておきたいこと……)
 それなら、ある。
「ありがと」
「…………え?」
 フーゴは目を見開いて、虚を衝かれたような顔をした。ナランチャには、そこまでおかしなことを言ったつもりはないのだが……。
「たぶんフーゴが来てなかったら、怪我くらいはしてたと思うから」
 ただの感謝の言葉。そんなに驚いた顔をすることはないのに。ナランチャが首を傾げていると、先程の車がすぐ傍までやってきて止まった。助手席と運転席、両方のドアが開いて、ブチャラティとアバッキオが姿を現す。
「状況は?」
 思いの外穏やかな表情で――もっと怒られるかと思ったのだが――、ブチャラティが尋ねた。それにはフーゴが答える。
「片付きました。あの男は、あの中にいます。たぶん動けない状態かと」
「分かった。組織に連絡して、回収させておこう。2人共怪我はないな?」
「はい」
「うん」
「なら、詳しい話は帰ってから聞くことにしよう」
 そう言いながらブチャラティは携帯電話を取り出した。どこかへ電話をかけるつもりのようだ。先程言っていた“回収”の依頼だろう。
 ブチャラティの通話が終わるのを待つ間、ナランチャはふと真っ直ぐに向けられている視線に気付いて顔を上げた。アバッキオがこちらを見ていた。勝手なことをしてと説教でもするつもりかと思ったが、そうではないようだ。「なに?」と首を傾げるも、答えは返ってこない。
「よし、手配は済んだ。オレ達は先に帰ろう」
 通話を終えたブチャラティがそう言うと、アバッキオは頷きながらも、まだナランチャの方を見ている。それに気付いたブチャラティも、「どうかしたか?」と彼に尋ねる。すると、
「良かったな」
 淡々とした声でアバッキオが言った。ナランチャが何か言うよりも先に、ブチャラティが続く。
「ああ、そうだな」
「鬼のような形相だったからな」
「ほんとに。無事で良かった。……あの男も」
「殺しちまったら、流石に面倒なことになってそうだからな」
「ああ。すごい取り乱し様だったから……」
 どうやら自分に向けられた言葉ではないらしい。そう思ってみれば、隣に立つフーゴの様子がなんだかおかしい。夕日はもう沈み切ったというのに、その顔が赤く染まっている。彼は堰を切ったように喋り出した。
「おかしなことを言わないでくださいっ! 誰が取り乱してなんかっ……」
「冷静か? なら、そっちの車を運転して帰ってくれ。くれぐれも事故を起こさないようにな。オレ達はレンタカーを返してくる。ナランチャはフーゴと一緒に、そっちの車だ」
「はーい」
「あ、それから」
 車へ向かいかけたブチャラティは、ぴたりと止まって踵を返した。ナランチャの方を見て、にっこりと微笑む。
「次の任務には、ナランチャ、お前も参加させる」
「ほんとっ!?」
「ああ。たぶん、目の届くところにいた方が安心するだろうしな」
 そう言うと、ブチャラティはくつくつと笑った。意味が分からず、ナランチャは首を傾げる。だがそれ以上は何も言わずに、ブチャラティはさっさと車の助手席に乗り込んでいった。先に運転席にいたアバッキオが発車させ、2人の姿はもう見えない。
 「今の何?」と尋ねようとして視線を向けると、フーゴは相変わらず赤い顔で、口をぱくぱくさせている。何か言いたいようなのに、言葉がどこかに行ってしまったかのようだ。フーゴのそんな様子を見るのは初めだ。
「フーゴ?」
「ああもうっ! さっさと帰りますよ!!」
 フーゴは怒ったようにそう言うと、大股で歩き出した。彼についていかないと、ナランチャは来た道を歩いて帰ることになってしまう。それは御免だ。
「フーゴっ、待ってくれよ!」
 フーゴの背中を追いかけながらナランチャは、帰り道は自分に運転させてくれと頼んでみようかと思った。さらにもしフーゴが良いと言うなら、運転の練習がてら遠廻りをして帰らないか、とも。


2021,05,14


今作のテーマは「罠」です。
罠に嵌める方だったらカッコ良かったのに、まんまと嵌められる方ですw
ちなみに好きな罠はペンデュラムです。
今回珍しく時間が取れずに締め切り前日まで書いてました。危なかったゼ!
<利鳴>

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