ミスジョル 全年齢


  flashyGunner


 今日の『仕事』を全て終えて久しいミスタが帰らずにボスの執務室のソファに腰掛けているのは、そのボスのジョルノが仕事に追われているから。今やギャングチームの先輩後輩から組織のボスと幹部、それをも越えて恋仲になっているので手伝ってやりたくはあるが、何分事務仕事は自分向きではない。
 それにきっと本人が確認する事に意味の有る仕事をしているのだろう。そう思い邪魔をしないように静かにただ座っていた。
 昼過ぎに終えたみかじめ料の回収先が営業を始める頃だ。そこの見回りでも課しておけば退屈せずに済んだのにと思いながらソファに足を上げて横になった時。
「すっかり有名人ですね」
「ん?」
「ここでも貴方の名前が出ています」
 デスクに広げている書類──上がってきた報告を纏めたもの──をトントンと指す。
「朝も話しましたが『拳銃使いのミスタ』という通り名、随分と多くの人に知られているようです」
 どんな風に書かれているのやら。
「だから気を付けて下さい。この組織の実力者である『拳銃使いのミスタ』さえ葬れば、なんて考える輩も居るかもしれない。聞いていますよね? 『売人』の話」
「娼婦だかその客だか相手に合成麻薬を流してる奴が居るって話か? 今日の昼も聞いたし、単なる噂じゃあなさそうだな」
「ネアポリスに麻薬を持ち込むのは許さない」
 亡き仲間達の遺志を継いで。
「まあそいつが俺を狙ってきたら返り討ちにしてやるぜ」
「そうしてヘッドショットをぶちかまして殺人犯となって逮捕されないように気を付けて下さい、と言ったんです」
「はいはい。まあ前科持ってる方が箔が付く時代は終わったもんな。牢屋なんざ2度と入りたくねーし」
「僕の隣に貴方が居ないなんて考えられない」
 毎日差し入れを持って面会に来ると言われるよりも嬉しい。
 嗚呼そうだ、これからも毎日一緒に居るのだ。
「気を付ける気を付ける、金は保釈金じゃあなく美味い飯に使おうぜ」
「良いですね。何が食べたいですか?」
「今日の気分はそうだなあ……」
 幾つか店名を挙げてみる。今日このまま一緒に行けるかどうかの確認を込めて。
「じゃあ仕事(これ)が終わるまでに決めておいて下さい。あ、新規開拓以外でお願いします。僕の今日の気分は食べ慣れていても良いから外したくない、なので」
「了解。食った後は家(うち)に来るか? っつーか来いよ、泊まっていけって。最近ご無沙汰なんてレベルじゃあないぞ。明日は特に予定も無いわけだし」
「ミスタには」
「何だお前、用事有んのか?」
「『これ』を明日片付けなくちゃあならない」
 言いながら書類を束ねて角へ寄せた。
「ジョルノ?」
「急がない分は明日にやります。腹も減りましたし、早く食べて早く貴方の部屋に行きたい」
 明らかに途中であろう仕事達を放り出して立ち上がりこちらに来る。
「ご無沙汰なんてレベルじゃあないので」ソファを、その上で半ば寝そべるミスタの顔を覗き込み「今晩は沢山可愛がって下さい」

 合成麻薬の製造に伝(つて)が有るのは偶然だが、流通先をここネアポリスにしたのは意図的だ。治安がやや悪くギャングがのさばっているのに余り麻薬の話を聞かない。
 数日前から娼婦を買いに来た男に売り付けて小銭を稼いでいる。合計すれば小銭なんて呼べるような少額ではないのだが、売上は予想を下回っていた。
 それもこれも『拳銃使いのミスタ』の所為だ。
 ネアポリスで1番大きなギャング組織の幹部で、すぐに発砲する――らしい――事からその通り名で呼ばれている。
 発砲はボスの命令で、気分次第で、敵対組織にのみ。噂は色々とあるが、その男が麻薬を嫌っているからネアポリス内ではギャングも麻薬を使わないという話を聞いた。
 何とも厄介な話だ。その男に撃たれたくないばかりにこの街の人間は麻薬を試そうともしない。
 本当は金払いの良い娼婦に売り付けたかった。手元に金が有るので踏み倒さないし、どぷりとハマれば別の街の娼館に売り飛ばして更に金に出来る。
 しかしこの立ちんぼ達の集う道に今のような真っ昼間っから突っ立つ娼婦達はどいつもこいつも麻薬はやらないと言い張る。興味の有る素振りを見せても法にも無法者にも禁じられているからと、中には「ミスタ様に知られたら」と名前を出す女まで居た。
 仕方無しに娼婦を買いに来た男を相手に商売した。アッパー系なのでセックスドラッグとしても使えると言うと見るからに金の有りそうな、しかし女にはモテなさそうなタイプの男は買ってくれる。
 口コミで広まってくれと願いながら今日まできた。こんな安価では本来手に入らない・1度きりの破格だと言ってきた所為か噂を聞いて買いに来る人間は居ない。だが実際に小銭呼ばわりしたくなる価格設定だ。
 その拳銃使いとやらをどうにか出来たらもう少し儲かる筈なのに。実際に会った事は未だ無いが、話に聞く限り相当派手な格好をした10代の男なので見てすぐにわかるだろう。
 色違いのトップスとボトムスはどちらも違うが派手な柄が入っており、被る帽子もまた派手な色柄物。恐らく今車道を挟んだ先で金の髪を巻いた娼婦に話し掛けているような──
 アイツか?
 車通りが無い道の向こう側をじっと注視していると、暫定ミスタが視線に気付いたか娼婦の話を遮るように手の平を出してからこちらを向いた。
 遠いがしっかりと目が合う。
 そしてミスタは娼婦の前に出していた手を自らの口元にやり何か考え始めた。
 娼婦を買いに来た──未だ日も高い時間から買いに来る人間はそれなりに居る──のではなく、麻薬が嫌いだから合成麻薬を売り歩く自分を探しに来て話を聞いていたのかもしれない。
 数人とはいえ──商売──女の立っている日中の道端で発砲してはこないようだ。
 遠目に見る限りは細身の男、案外話せばわかる奴かもしれない。合成麻薬なので医療現場から盗んだ物ではないとか、麻薬でも自分ではなく女に使うだけで充分楽しめるとか、仕入れは時間こそ掛かるが安定しているとか、そういった事を聞かせれば一層ギャング組織に引き入れられたりするのでは。
 先ずは話してみようと車道を横断する。
 目を合わせたまま会話の出来る、手を伸ばせば触れられる位置で足を止めた。
 ミスタと話していた娼婦が困惑した様子で2人の顔を見比べている。
「やあ、君が『ミスタ』かい?」
 朗らかを装いお噂は予々(かねがね)と声を掛ける。流石にいきなり握手には応えないだろうから手は上げるだけ。
 さてどういった反応を見せるのか──と待つより先に、ミスタは逃げた。
「……は?」
 くるりと90度回転して背を向けて、そのまま走り出した。それも全速力と思われる結構な勢いで。
 ぽかんと口を開けていては姿を見失う。
「ま、待てッ!」
 姿が見えなくなろうと知った事ではない。筈なのに、何故か後を追うべく自分も走り出していた。
 ミスタが居なければ彼の面目を立てて麻薬を我慢している人々が買うようになるかもしれない。だから居ない方が良いのだ。そう思っているのにそのミスタを逃がさないように走る。
 この辺りの地理に明るいのか、それとも逆に当てずっぽうなのか、人の居ない直線を駆け抜けたかと思えば連続で小道を曲がりもする。
 撒こうとしているのかもしれないが、こちらはこの辺りを陣地にしてから日が浅いので付いて行くしか出来ないから逆効果だ。予測して先回り等、はなから出来ない。
 何故ミスタは逃げるのか。何故自分が追い掛けているのか以上の謎だ。麻薬が嫌い過ぎて売人と関わりたくない? それならそれで良い。一層そのままこの街から消えてくれれば良い。この街と言わずこの世からでもいい。
 ミスタは足がかなり早い。こちらの方が背が高い、歩幅が広い筈なのに追い付けない。だが一定以上は引き離されない。
 何度か曲がってからただでさえ昼間という事で余り賑わっていない歓楽街の中でも更に人気(ひとけ)の無い方へ向かっている事に気付いた。
 拳銃使いと呼ばれているだけあって、拳銃を使える場所を探しているのか。否、既にそんな場所を知っていてそちらを目指しているのか。
 数分走り続けて流石に息切れを起こしそうになった所で互いに目的の分からない逃走劇は幕を下ろす。
 ミスタは一際狭い道へ曲がる。その路地裏を抜けた先は空地だった。
 建設予定地ではなくただの空地。何故なら建物の『裏』に囲まれている。
「はぁ……おいミスタ、何で……逃げた?」
 行き止まりの空地の中央に立ちこちらを向いたミスタへ、再び手を伸ばせば触れられる距離まで詰めて立ち止まり、ぜぇぜぇと息を荒げながら尋ねた。
「……この街に麻薬を持ち込むな」
 年下に見えるが丁寧な言葉を使う事無く『命令』してくる。
「何故?」
「麻薬は人の意志を奪う。どうしても使いたいならこの街を出て、どこか片田舎でひっそり使ってひっそり死ね」
「自分じゃあ使わない。ただ欲しい人間に売ってやってるだけだ。買う人間も自分に使わず女に使う。合成麻薬と言ってもセックスドラッグの亜種だ。勝手にイク女を見るのは楽しいぜ? それに女もハマれば自ら買うようになる」
 勿論自分でも服用した方が楽しめる。しかし麻薬嫌いの男に言っても逆効果だ。それならば金になる事を印象付ければ良い。未だ若く余り向いていない顔をしているがミスタはギャング、金が欲しい筈だ。
「なら尚更辞めろ。この街で麻薬の使用も売買も認めない」
「誰が? お前が認めなくて、それでどうする!?」
 つい声が荒くなった。しかし大人気(おとなげ)無いのはミスタの方で──拳銃を向けてきた。
「それ……本物かよ」
「ああ」
 銀のリボルバーは精巧な玩具ではなく本当に発砲出来る物らしい。
 その証拠に、ミスタの構える右手もそれを支える左手も微かに震えている。
 拳銃使いと呼ばれている癖に余り撃った事が無いのか。あるいはこの距離──触れてこそいないが間違い無く外さない──で撃てば当たるのが、殺してしまうのが恐ろしいのか。
「どっちかは知らねーが、お前は見た目通りのガキだな」
 撃たれると思うから恐ろしいのだ。こんな子供に撃てやしない。そう確信していれば何も怖くない。向けられているリボルバーの銃身をがしと掴んだ。
「なッ……」
「10代って聞いていたが未だ中学生位じゃあねーか。躊躇いとか怯えは命取りになるんだよ、『拳銃使いのミスタ』さんよォ!」
 そのまま強く引っ張り上げるとリボルバーはあっさりとミスタの白い手から離れる。
 持ち変え引き金に指を掛けて持ち主のミスタへと向けた。
「眉毛が金って事はその帽子の下はブロンドか? 派手な服と顔と髪の毛しやがって。何が麻薬を使って死ね、だ。お前がお前の拳銃に撃たれて死ねッ!」
──ガウン
 派手な銃声で目の前の男、より正しく言うなら少年が倒れる筈だった。しかしミスタは平然としている。
 それより何より、痛い。
「……あ、うわあぁあッ!?」
 痛みに悲鳴を上げたのは撃たれたミスタではなく自分。ミスタは撃たれてすらいない。
 銀色のリボルバーは銃弾を飛ばさず手の中で暴発していた。
「『あーあ、ジャムっちまった。残り4発だからか?』と、ミスタなら言うかもしれない」
 わざとらしく言った後に平然と「他人事(ひとごと)だし」と付け加える。
 その言い方、そしてその言葉。
「お前……拳銃使いのミスタじゃあないのか……?」
 形良い唇の端が上がった。
「違う。名乗るつもりは無いが、代わりに僕はその手を何とか出来る、という自己紹介をしようと思う」
「何とか……?」
 してくれるのか?
「新たに生やす事が出来る。麻薬から足を洗うと誓うなら」
「誓う、誓うよッ!」
 心にも無い事を言っていた。ギャング──恐らく──に治療を頼めば大金が必要になる。稼ぐ手立ては合成麻薬の密売しか知らない。だから仕方が無いのだ。
 右手が小指しか無いままでは生活出来ない。今すぐ治してもらわなくては。だというのにミスタのフリをしているらしい少年はのんびりと話し始める。
「撃つつもりは無かった。だから最初から細工をしていた。もしアンタが銃を奪って撃ってきたら暴発するように。それでも危険は有るからミスタに囮は頼めない」
 派手な色柄の袖に包まれた腕を組んで溜め息を吐く。呆れた素振りをわざと見せているように感じた。
「先刻も言ったがどうしても麻薬を使いたい、麻薬を売りたいのならここから出て行ってもらう。この街は僕の『シマ』だ。僕の縄張りには麻薬は流通しない。アンタは本当に麻薬を断てるのか?」
「それは――」
「一応誓うと言ったから手は戻してやった」
 余りにも酷い痛みと大量出血による貧血で頭の回転が鈍くなっているからか気付かなかった。偽ミスタの言う通り右手は元の形になっている。
「あ、ああ……」
 握り締めたり開いたり。指の先までしっかり動かせた。
「どうする? 『ミスタ』は短気な所が有るから「答えないって事はネアポリスで麻薬をやるつもりだな」とか言い出すかもしれない」
「……そうか」
 1歩後ろに下がり呼吸を整えた。こんな子どもに怯える事は無い。拳銃が暴発した今自分は丸腰だが、目の前の少年もまた他に武器を隠しているようには見えない。言葉通り手が治してきたのは不思議だが、麻薬の楽しみ方を知らない子供の1人位どうとでも出来る。
 殴り飛ばして大人は怖いと思い知らせれば良い。
「ああ、そうだよ……ネアポリスで麻薬を流すつもりだよ! くたばれガキ──」
 新たに生やすと表現されたからか少し違和感の有る右手を全力で殴り付けるべく振り上げたのに、偽ミスタは驚きも怖がりもせずにただこちらを見ていた。その淡い色の瞳が最期に見た物だった。

──ガゥン
 暴発時の音と違う銃声らしい銃声はジョルノにとってよく聞き慣れた物で、耳は痛いが安心感が胸に広がる。
 銃を暴発させ手を作ってやった麻薬の売人──最期まで互いに名乗らなかった──がゆっくり前に倒れた。
 どしんと音を立てて地べたにうつ伏せた遺体は後頭部に銃弾による穴が開いている。
 ジョルノは顔を上げて前を見る。やや離れた直線上に、愛用の黒いリボルバーを構えたままの、いつもとは違う見慣れない服装のミスタが居た。
「ほら、ヘッドショットをぶちかました」
 やや大きめの声で言うと銃を下ろしこちらへ歩いてくる。
「捕まらなきゃ殺人犯じゃあねーよ」
 無理の有る言い訳をしながら隣に並ぶ。ジョルノにとってはほんの少し大きな服も、この体には丁度良いのだろうと思えた。
「良いですね、その服」
「去年はよく着てた。久々に引っ張り出したぜ」
 色こそ派手だが無地の半袖シャツと、同じく派手な色で柄の無いパンツ。被っているのは柄は有るが色がシンプルなニット帽だ。
「よく似合っている」
「惚れ直した?」
「とても」
 ただでさえミスタの服を着てからずっと彼の匂いに包まれていて、早く本人に会いたいと思っていたのに。
「まったく、誰かさんが人の服盗んでっちまうから」
「お陰でその格好が見れた」
「コラ。泊まりに来たのは服盗む為かよ」
「盗むつもりは有りません。洗濯して返します」
 昨日泊まっていったのはこの服が、噂でしかミスタを知らない人間が見たらミスタだと勘違いする服を事後承諾で借りるのが目的だった。勿論『ご無沙汰』だったので寝たかったのも有るが。
「ただ拳銃の方は返せないので買って弁償します。僕のスタンド能力は生命を与える物であって元に戻す事は出来ませんから」
「だから予備の方持ってったのか」
 シリンダーにスタンドで植物を生やす細工をする事はミスタのフリをして罠に嵌めると決めた時点で思い付いていた。拳銃や弾丸の予備を隠し置いている場所は知っている。
「それよりミスタ、よくここが分かりましたね」
「麻薬関係のヤベー奴をとっちめるったらここって前話しただろ」
 朝起きると隣に寝ている筈の恋人は居ないし脱ぎ捨てた服も消えていた。
 その情報量で麻薬中毒者を『処理』するのに最適だと話した場所に来るのは勘が良過ぎる。ミスタはジョルノの事をよくわかっている。
 奪われてからスタンド能力を使っても遅いので最初から細工していた。だから自分が手にしている時に暴発する可能性は有った。その覚悟はしているので決して怖くなかったが、普段使う事の無い拳銃の冷たさと重たさと、それをミスタが頻繁に使用している事実は怖かった。
「ったく、服も銃も幾らでも貸してやるが、こういう危ない真似はもうするんじゃあねーぞ。何か有ったらどうするんだ」
「こうして貴方が助けてくれるんでしょう?」
 言い返してこないのはその通りだから。ミスタにジョルノを見捨てたり見限ったりする事は出来ない。ジョルノもまたミスタをわかっている。
 相手がピンチに陥っていれば絶対に助ける。それはミスタもジョルノも同じ。
「それで、コイツどうする? 埋める?」
「埋めますか」
 服と違い靴はサイズが合わないと走れないので借りなかった。服と合わない自前の靴の先でジョルノは『ここに』と地面踏んだ。
 別に戒心するのなら殺してはならないと思っていたわけではない。性善説なんて信じるつもりは毛頭無い。
 殺さなくてもと思う気持ちは有ったが、もしミスタ自身が囮になり同じ目に遭ったら、撃たれそうになったりそれを見逃してやったのに殴られそうになったりしたらと考えると、慈悲の心という物は跡形も無くなる。
「誰を呼びましょう。仮にも麻薬の売人だからある程度信頼出来る人じゃあないと」
 個人情報を盗み新たな売人とならないように。
「俺達2人でちゃちゃっと埋めれば良いだろ」
「生憎僕は仕事が有るので」
「未だ何か有んのか?」
「昨日仕事を残してきましたから」
「ああ……ってお前、その格好で事務所行く気じゃあないだろうな?」
 早く返せという意味ではなく。
「俺の服着たお前を、他の奴に見せるのは……まあ俺の物感が有って良いか。良いな? 昨日泊まってきましたって顔して仕事してこい。俺は誰か呼んでこれ埋めとくから」
 ジョルノが自分には少し大きい服の首元を摘まみ『俺の物感』とやらをアピールして見せるとミスタは満足そうに頷いた。
 事務所に何人来るかは分からないがジョルノが籠る執務室にはほぼ誰も来ないのでこの姿を他の人間が見る事は恐らくない、通りすがりに見た組織の末端の人間がそれこそミスタと勘違いして終わるだろう事は言わないでおく。
 ミスタの香りに包まれてする仕事は身が入らないだろうか。否、そんな事は無い。成り済まして囮となって罠に嵌める事が出来た。
 ビシリと仕事を片付け服を返しにという言い訳で、今日もミスタの部屋で過ごそう。嫌とは言わせないし言われない。


2021,05,14


利鳴ちゃんと罠をお題に書き上げました。私は罠に嵌める方。
ミスタのねんどろいどにジョルノの顔パーツを付けたらちょっと可愛かったのでこんな話に。
一方逆は悲惨な事になりました。真似しちゃ駄目です。
<雪架>

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